そんな中、自然な流れで杉＆松尾による共作が始まる。杉の自宅で小室和之、田上正和も交えながら、4チャンネルのカセットMTRでのデモ・テープ作り…。"ビートルズ"の影響を受けそのDNAを受け継ぐ4人が、徹底的にビートルズ・サウンドを研究し、それをベースにしたオリジナル作品作りに没頭していく。もちろん、どこからリリースするとか、いつまでに完成させるとか、そんなことは一切考えもせずに。
そして完成したデモをレコード会社や事務所のスタッフ、ミュージシャンなどに聴かせると決まって返ってくるのは「この曲、凄く良いけど、これからどうするの？」という答えだったという。実際に当時の杉はCBS・ソニー、松尾はポリドールに所属し、しかもマネージメントも楽曲の出版管理も全くの別会社。当時はこういった障壁を乗り越えて作品をリリースするのは大変だった、そんな時代だ。しかし彼らがやりたい音楽を純粋に追究した結果、それぞれのレコード会社や事務所なども理解を示し、その結果"BOX"としてシングル「風のBad Girl／Temptation Girl」（CBS・ソニー／ 1988年4月21日発売）、アルバム『BOX POPS』（CBS・ソニー／ 1988年5月5日）でデビューを飾ることになる。
しかし3rdアルバムに向けての曲作りを始めた1991年、田上正和が音楽活動を休止することになったことに伴い、"BOX"としての表だった活動も次第に行われなくなり、一時活動休止状態となるが、1997年11月21日にリリースされたウィンター・コンピレーション『Winter Gift Pops』（日本コロムビア）にBOXとして2曲参加（ただしギターは、当時"ザ・ドリーマーズ"ｧのギタリストだった橋本哲に交代→ここから"ピカデリーサーカス"への流れも始まる）、さらに2001年12月2日には東京・吉祥寺のStar Pine's Cafeにて、田上正和が復帰しオリジナル・メンバーによる"BOX"のライヴが行われ、2002年5月29日にリリースされたジョージ・ハリスンのトリビュート・アルバム『Gentle Guitar Dreams』（イーストウエスト・ジャパン）にもオリジナル・メンバーによる「TAXMAN」のカヴァーで参加、また杉真理がデビュー30周年を迎えた2007年10月20日には東京・渋谷BOXXにて、ライヴ「BOX in BOXX」が行われるなど、徐々に活動も活発化。そしてデビュー20周年を迎えた2008年、11月19日に2枚のオリジナル・アルバムが紙ジャケット仕様でリイシューされた。同年11月24日に横浜・DRAGON CLUBにて「BOX LIVE 2008 -BOX 20年目の真実-」、2009年1月16日に渋谷・ON AIR WESTにて「 BOX LIVE 2009 -21世紀BOX-」、8月14日には表参道FABで「BOX LIVE Journey to the Summer」を開催。
JFN系で放送中の山下達郎のラジオ・プログラム『SUNDAY SONG BOOK』では、昨年、今年の「夫婦放談」において竹内まりやとBOXのスタジオ・セッションが放送され、大きな話題を呼んだ。最近のライヴでは新曲も披露されており、デビュー当時からのファンはもとより、ビートルズのDNAを受け継ぐバンドを愛する若いリスナーにまで幅広い層からの支持を得ている。
